『ドレキグラム'10』@ルミネ_7/24

フットボールアワー

M−1に初年度から4回挑戦して、4回とも決勝に進出しているコンビである(つまり準決勝で敗退したことが無い!)。

M−1に出場しなくなった現在も、「これ・・・M−1でやったら普通にファイナル残るやん・・・」と思わせるような良ネタを、マイペースに作っている。
(フットのような一生漫才師には、M−1なんて若い時の一時期だけのことだし、芸歴を重ねて、より面白いものを作るのは当然のことだが)。

前回に引き続き見に行った今回のコントライブも、フットボールアワーの味を出しつつ、さすがと思わされるライブでした。


1、オープニングコント:いまやらなあかんか!?

2、伊臥喜一郎記念館

3、日本のへそ

4、かあちゃん

5、灰色の街

6、息子

7、WHY(後藤のギター伴奏つきのあいうえお作文の歌ネタ)

8、バイバイ

エンディングトーク


DVDになるようなので、内容は割愛。フットらしい言葉遊びや架空の世界をつくりあげるようなネタが見られたし、のんちゃんの存在感と演技の上手さに改めて感心!

先日、のんちゃんが普通の芝居に出演して、自然体でやったら演出家に結構絶賛されたとオンラインで言ってたけれど、さもありなん。
まず、あのあまり開いてなくて黒目がちな目が良い。一見、表情筋の動きが乏しくて、感情が読み取りづらいように見える顔だと思いますが、その基本の無表情さゆえに、逆に、ちょっとした仕草や声のトーンによって、あらゆる表情にみえてくるのだ。

良い意味で、能のお面のようなもので、のんちゃんがちょっと口の端を上げたり下げたりするだけで、喜怒哀楽がコロコロと変わって見える。
もちろん、表情だけでなく、セリフの喋り方と仕草も上手い。漫才でも時々勝手に暴走するキャラ(SMタクシーの運転手とか)を演じるけれど、コントもその役になりきってる感じがする。憑依系芸人だね。
後藤は憑依系じゃないけど、オープニングコントのような女装の残念さが好き(笑)。関西の下町の口うるさそうなお婆さんキャラ似合うなぁ。性格に問題のある老夫婦ネタも大好きなので、このネタには弱いwごっつの『料金所』とか『ラッキーストライク』とか。


そんな風に感心する一方で、シモネタなボケも飛びかうフットのコント。
でもこれが。全然不快な感じじゃないのだ。

1ネタだけネタバレしてしまうが、『息子』は、オカマになった息子(岩尾)が実家に戻ってきて父親(後藤)に会うというコント。

醤油漬けにしてタッパーに入れてきた自分のイチモツをテーブルに出す息子。小道具と分かっていても、コントに集中している会場からは軽く悲鳴が。ここまでなら、ライブスタンドでイチモツをマサカリで刈るコントを披露した野爆のように、ちょっと恐い(グロい?)ボケ。
しかしここから、オカマになった息子はオナベになりたいと言い出す。オナベになってタチションをしたい、さらしでEカップの胸を隠したいと。

それって元の男のままでええってことやないんかという父親に、反論するオカマの息子。

「ちゃうねん!タチションが出来ることを当たり前と考えて、そのことにあぐらをかいているような、そんな男にはなりたくないねん。タチションが出来ることに憧れと葛藤を抱き続けているような男(オナベ)になりたいねん!」

タチションしたいとか、上半身裸で歩きたいとか、のんちゃん、オナベのことよくお分かりでww
まぁ、オナベのステレオタイプな願望といえばそうだろうけど。芸人さんだから、2丁目で知り合いとかいるんだろうなぁ。

一般男性を揶揄しているようにも見えるし、オナベが持ってる願望を面白がっているようにも見えるし、もっと言えば、私には、悲劇のヒロイン的人生に憧れて、過剰に困難の多い人生を作りたがっている(自分に酔いたがっている)人を揶揄しているようにも見えた。

ともかく、女になりたがる男も、男になりたがる女も、今の世の中珍しくは無いし、芸人が女装ネタで笑いを取ることなんて大昔から定番だけれど、それをもう一段突き抜けると、まだあまり荒らされてない面白さがあったね、という感じのネタ。


・・・ちょっと堅苦しく語っちゃいましたが、全部ふっつーにゲラゲラ笑うコントなので、DVDを見る方は、変にハードル上げずに気楽〜に見てください(笑)。ちなみに、来場者限定で、サイン入りDVDを先行予約できるとのことで、予約してきちゃいましたw


定番の歌ネタでは、グラサン&革ジャンの後藤が相変わらず、渋い声と上手いギターで、無駄にカッコイイ(笑)。これ、のんちゃんのボケよりも後藤の『WHY〜』を、もっとずっと聞いていたくなるw